みんなのクレジット社にまつわる一連の騒動は、金融庁による行政処分から償還の停止を経て、債権譲渡の決定という投資家にとっては大きな節目を迎えました。本記事は諸般の事情により非公開としておりましたが、事業者側からの説明不足、一方的な債権の取扱い決定等、投資家が時を追うごとにますます不利な立場に追い込まれているという現況を鑑み、その不均衡な状態に一石を投じることを目的として公開させていただくことにしました。営業停止処分が下されて間もない頃のインタビューであり、特に目新しい情報や有用な情報があるわけではありませんが、白石前社長退任直後の同社の雰囲気を記録として残すことはできるかと思います。

 

2017年5月9日、東京都渋谷区の株式会社みんなのクレジット本社にて、阿藤代表取締役とS部長からお話をお伺いしました。阿藤氏は前任の白石伸生氏に代わって4月29日に代表取締役に就任。同社のこれまでと現状。そして、これからについて語っていただきました。みんなのクレジット社の発言は阿藤氏の発言を中心に、S氏の発言も交えて編集しています。

インタビュー記事の第3回目となります。

 

-営業再開後の具体的な部分についてお聞きしますが、ファンドの中身はこれまでとは違うラインナップになるのでしょうか?

これも将来のことなので状況に応じてにはなると思います。今想定しているのは(グループ)外部の企業、信金さんや銀行さん、あるいは何か他のところからなかなか借りられないけれども資金ニーズがあったりとか、あるいはもうちょっとで、今あといくらあればうまくいくというような、そういった経営者さんたちに向けたファンドをやっていきたい。そこに注力してやっていくというのをまず念頭に置いている。

今回の問題点の一つではあるが、(貸し手と借り手が)同じ代表で同じグループにあるというのがありました。逆にそれが腹の内を全部わかっている、どこの会社よりも内情をわかっているという中で、そこがやはり何より安心だからということで延々貸し付た結果、結果として甲社に集中してしまった。

もう9割以上の融資が甲社を含め当社のグループに集中してしまったというところがあり、リスク分散という観点からすると非常によろしくないというのはもちろんそのとおりでした。

リスク分散も含めて、当然審査の部分であったり、担保の保全の部分であったり、返済原資の部分であったり、あとはもうそもそもお金の使い途について。これらはすべてヒアリングと貸付後のモニタリングも含め、しっかりやっていきたいと思っています。

– 担保についてはどのようにお考えですか?

中身的には不動産ローンファンド的なものが多くはなってくる。特に担保という部分に関していえば、やはり日本では不動産に対する需要が多い。だからやはりそこが中心になると思います。

ただ、弊社が1年前にオープンした時の考え方というのは、不動産担保ローンファンドみたいなものは、結局土地を持っていないとお金を借りられない。イコールお金持ちでないとお金を借りられないというようなものなので、我々の商品として許容できる範囲をもっと広げたいというのがあった。

これはお客様がどう判断するかは別ですけれども、土地を担保にしなくても、その会社のそれが上場企業だろうが未上場だろうが株式を担保にする。貸す前に株式の算定をして、例えば3000万円を借りたいのであれば、3000万円に足る株式を担保にする。そうすれば会社を持っている、何か事業をやっているけど土地を持っていないという人も、自社の株式を3000万円分拠出すれば、ローンファンドを生成することができる。

非常に単純化して話していますが、これであればお金持ちでなくてもできます。第三者の監査法人が監査して株式の査定をするから、客観性は保てる。一方でそれがもし未上場であったり、そこが潰れてしまったら、ただの紙くずになるという心配がある。

しかし、我々はその会社が危なくなっても、株式の担保権を実行することによりその経営権を握って、会社を立て直せば良いわけです。そういったことでの担保というイメージが強い。有価証券の担保に関してはそれをマーケットで換金して回収しようとしても、そんなことはできません。もし本当に経営リスクが顕在化してしまった場合には、有価証券をマーケットで換金するのでなく、経営をやってしまう。

万が一の時のための有価証券担保です。ただもちろんそれ(経営危機)を前提にしているわけではありませんから、基本的なスタートというのはお金持ちでなくても資金調達ができますよというところですね。

こういう部分で、他社のソーシャルレンディングにはない多様性みたいなものを出していけると思う。

– 他に何か変わってくるものはありますか?

現在、ホームページを変えています。ホームページ変えるということは、お客様にご提供する貸出先の情報だったりとか、その他諸々のいろいろなご案内が変わるということになります。項目をもっと詳細にします。

ソーシャルレンディング各社が貸出先の情報などをどこまで開示するのかというのは、本当にピンキリなんですよね。具体的な会社名が書いていないだけで、誰が見てもわかるのでは?というところまで出しているソーシャルレンディングさんもある。非常に極端です。

これは貸金業法と金融商品取引法の間に明確な指針がないからなのですが、これまでの弊社は非常に貸金業法寄りな表現だった。それをググッと金融商品取引法サイドに寄せます。それによってお客様のより具体的な投資判断だとか、そこでリスクをどう感じ取るかという部分に役立てていただけると思います。




– 細かい情報を出されるというのは、投資家保護の観点に寄っていくことだと思うのですが、ブログやセミナーなどでさらに細かい情報発信をすることは検討されていますか?

処分が出たということは、とにかく水準を満たしていなかったというわけなので、まず最大のミッションは皆さんからの信頼回復。これがまず一番の優先課題です。本当にゼロかマイナスからのスタートになってしまいますが、そこをまずやった上で中長期的な話になってくれば、皆さんから受け入れてもらえたとすれば、そこはまた幅を広げていきたいなとは思います。

今までがどうしても会社の成長スピードと中身が追いついていなかったものですから、正直お役所の求めている水準と私どもの認識に開きがあったのは事実。ですから、そこをまず信頼していただくということが第一フェーズとなってくる。まずリスタートに立たなければならない。セミナーとかリアルイベントとかやりたい気持ちはあるが、現段階で言えることは営業を再開して皆様からの信頼を回復すること。現段階で言えることはそこまでです。

少し語弊はありますが、正直なところ弊社としての言い分もあります。広告の誤解表示ですとか資金使途について言い分もあるんですけれども、とは言えお役所が指摘していることは確かにその通りではあるので、そこはまず受け止めた上で、誤解を招いたり取らなくていいリスクになったりということは排除しなければならない。

そこで一旦は、皆さんからの信頼回復が最大のミッション。これが一番の優先課題です。

– 甲社への貸付は今後も継続されるのでしょうか?

この場で「しません」とも「します」とも言えない状況です。それよりも先にあるのは、少し細かい話になりますけれども、今まず親会社に対して貸し付けした運用中のもの、これをまずどうやって回収をしていくのか。最大債権者として、親子関係ではあるけれどもここがまず先にくる。

それをしっかり、投資家の皆さんに説明をして責任を果たす。お役所に対してもそれはちゃんとOKをもらう。そこでお墨付きをもらった上であとは外部の企業もグループ企業も、内だ外だというような分け隔てなく、フラットに見て判断して、ファンドを組成していくことになる。

ですので今この時点での「やります」、「やりません」の判断ではなく、まずは指摘されている部分を改善なり解決していくことが先になります。

– 親会社であっても一つの企業対一つの企業という線引きの下で折衝であったり、対処をされていくということですか?

はい。ですので、そこがまず解決されない限りは、逆に言うと「次の…」というお話にもならないのです。

それは親会社である甲社に対して言っていることなので、もう本当に全然関係のない会社…というようなイメージですよね。みんなのクレジットは最大債権者ですから。弊社は甲社に対する100%子会社ですけれど、最大債権者なんです。

債権者としての権利を行使すれば、親会社と言えども潰せます。潰せるという言い方もおかしいですけれど。そこは本当に普通に債権者と債務者という形でちゃんとやりますよ。だから、「甲社さん、きっちりやってね」と。

甲社ももちろん不動産開発をしています。それがいつ頃売れてというような、それぞれ物件ごとに予定があるわけです。そういうものに対して予定表を全部出してもらった上で、「ということはキャッシュフローはこうでこうでこうだよね」というのをやっている。

今まではフォーマルに確認しなくても、(代表者が同じなので)わかっていた。それをこれからはビシッと壁を作って、きっちりと書類で出してもらおうとか、そういうことを積み重ねていく。債権者、債務者として契約に基づいて、しっかりとした体制を整えましたということですね。

– 甲社の代表はみんなのクレジットの前代表でもあるわけですが、そこはB to Bとして線を引いてやっていくということですね?

はい、そのとおりです。

第4回へ続く