ソーシャルレンディング各社のトップが声明を出すなど、業界内がざわついています。一方でみんなのクレジットはウェブサイト上で「証券取引等監視委員会の勧告について(詳細版)」というお知らせをリリースしました。今、何が起きているのでしょうか?前回の続きから始めたいと思います。

白石代表がファンド出資金を自身の借り入れ返済等に使用している状況

もはや唖然とするしかない状況です。みんなのクレジットの投資家から募った資金を、私的に流用していたということになります。

SESC(証券取引等監視委員会)のリリースには、こう記されています。

白石代表は、当社が甲に貸し付けたファンド出資金について、甲の社員に指示を出し、自身の預金口座及び自身の債権者に送金させている状況が認められた。

この文面から得られる情報だけから思いつくのは「横領」というキーワードですが、実際のところはどうなのでしょう?いずれにしても好ましい行為でないことは、小学生でも理解できるはずです。

サラリーマンが会社から業務のために預かった仮払い金を自分の口座に振込み。そして、住宅ローンの返済に充てる。こんなことが発覚したら、かなりの厳しい処分を受けるはずですよね。



甲グループの増資にファンド出資金が充当されている状況

甲グループとは、みんなのクレジットの親会社及びそのグループ会社を指します。

何を目的とした増資だったのか?その意図は測りかねますが、経営の苦しい企業の場合、増資に成功すれば資金ショートによる倒産危機を回避することができます。

そもそも、まったく別の目的を謳って投資家を勧誘して調達した資金です。目的がなんであれ、グループ企業の増資に充当するのはもってのほかですね。

本事案の概要 SESCウエブサイトより
本事案の概要
SESCウエブサイトより

個人で例えるのなら、学校の先生が生徒から集めた修学旅行の積立金を、クレジットカードの支払いに使ってしまう。修学旅行の費用は、自分の給料をやり繰りして後から支払おうと思っていた・・・。

しかしこの先生、自己破産寸前だったのです。にもかかわらず、生徒の積立金を流用して個人的な支払いに使ってしまった。

そんなところでしょうか。

この「甲」と呼ばれる親会社。どうやら、かなりの経営難だったようです。次の指摘項目でそれが明らかになります。



ファンドからの借入を返済することが困難な財務の状況

みんなのクレジットが投資家から集めた資金は、彼らの親会社へ貸し付けることが多かったようです。その親会社は、2016年の8月末から10月末においては債務超過の状態にありました。

債務超過とは自分の持ち物を全部売却して資金を作っても、それでもまだ借金の返済額に足りない状況ですね。債務超過の状態にある企業が破産すると、銀行などの債権者は融資したお金の全額を取り戻すことが理屈上はできなくなってしまいます。

一般的に企業がこの債務超過を解消するためには、資産を売却するとか、利益を増やす、増資・・・などの方法が模索されます。このところ世間を騒がせている東芝が今まさに、このような状況に置かれています。

「甲」は債務超過解消のために何をしたのか?

増資をしました。それも一つ上のパラグラフで説明した「みんなのクレジットが投資家から集めた資金」を使って。

ちょっともう何と言っていいのか、言葉が出ませんね。

この「甲」と呼ばれる親会社はみんなのクレジット最大の融資先です。ソーシャルレンディングの融資先が債務超過の状態にある。
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これは投資家が出資したお金は戻ってこない素地があることを意味します。借りたお金よりも返済する資金の方が少ないのですから。

今後、どうなっていくのか?

現在、みんなのクレジットはSESCにから金融庁へ「この会社に行政処分をした方が良いですよ!」と勧告された状態にあります。従って現在の同社は、何か処分を受けたわけでもペナルティを与えられたわけでもありません。

この後、金融庁は勧告に基づいて処分内容を検討し、実際に処分を下すという流れになるのが一般的です。

では、それはいつなのか?

ソーシャルレンディング業界にはクラウドバンクという前例があります。

クラウドバンクについては2015年6月26日(金)に金融庁へ行政処分を勧告されました。そして行政処分が下されたのはちょうど一週間後。7月3日(金)のこと。

今回の事案が同様に扱われるのかはわかりませんが、一つの目安にはなるのかもしれません。

ちなみにクラウドバンクの処分内容は三ヶ月間の業務停止命令というもの。業務停止期間中に金融庁から指摘された問題点を改善し、約四ヶ月後の11月27日(金)に業務を再開。

その後は経営陣も一新され、安定した営業が続いています。

まとめ

今回の処分勧告。違法性が疑われるのかどうかは検査をした人たちや法の専門家にしかわかりません。しかしながら道義的には簡単に許されるようなことでない。このことだけは確かなのではないでしょうか?