第一回目の記事では「ソーシャルレンディング」というキーワードが、絶対的、あるいは相対的にどのような人気を得ているのかを分析しました。今回は個別のソーシャルレンディング事業者を比較・分析してみたいと思います。

キーワード分析③ maneo(マネオ) VS みんなのクレジット

まずは現在20ほどある国内ソーシャルレンディング事業者の中で、もっとも検索ボリュームの大きい上位2社であるmaneo(マネオ)みんなのクレジットを比較してみます。

こちらのチャートの集計期間はみんなのクレジットがサービスを開始した2016年4月〜2017年9月16日までのチャートです。

maneoはずっと高い水準を保ちながら推移していますが、2016年9月中旬頃に人気度が高まっていることがわかります。ちょうどこの頃に日経ヴェリタスでソーシャルレンディングが大々的に特集されましたので、その影響が反映されているのかもしれません。また同年の9月27日はmaneoGMOクリック証券から「貸付型クラウドファンディングサービスmaneoの取扱開始!」というオフィシャルなプレスリリースが出されました。このようなことから、maneoが既存のソーシャルレンディング投資家以外の人たちからの注目を集めやすい時期であったことが伺えます。

みんなのクレジットの検索人気度を示す赤い折れ線グラフは2016年9月頃からじわじわと右肩上がりの傾向が出始め、年末から年明けにかけて一旦のピークを迎えています。この期間は積極的なキャッシュバックキャンペーンと、それを告知するウェブ広告が大量に出稿されていた時期と重なります。また、12月には金融庁に属する証券取引等監視委員会により検査が行われている事実が伝えられていました。そのようなこともあり、検索需要が非常に高くなっていたようです。




2017年3月にはみんなのクレジットが一時的にmaneoを上回る検索ボリュームを示しました。これは証券取引等監視委員会からの行政処分勧告、そして金融庁からの行政処分という一連の流れが検索需要を大きく高めた要因でした。8月にも再びみんなのクレジットの値が急騰して、maneoに肉薄。この頃は投資家が融資先へ融資元金の直接回収に向けたアクションを起こしたり、東京都産業労働局から行政処分(30日間の業務停止)や業務改善命令が下されたりした時期と重なります。そしてその顛末が東京商工リサーチのレポートとしてYahoo! トップにインデックスされたこともありました。

みんなのクレジットはニュースが出た時に検索需要を大きく伸ばしていますが、やはり対象期間を通してみるとmaneoが高水準で安定した検索ボリュームを保っていることがわかります。みんなのクレジットに関する記事がYahoo! ニュースのトップで取り上げられた期間でもmaneoを上回ることができず、逆にmaneoの強さを際立たせるエピソードとなっています。

キーワード分析④ maneoマーケット系のソーシャルレンディングプラットフォーム

今度はmaneoマーケットが運営と投資家の募集を行うソーシャルレンディングサービスの中で、検索ボリュームの値が高い上位5サービスを比較してみましょう。

こちらは過去1年間における、LCレンディングガイアファンディングクラウドリースアメリカンファンディンググリーンインフラレンディングの値を集計しています。

この5社の中ではクラウドリースが平均でもっとも高い値を示しています。ちょうど一年前の9月18日週がピークになっていますので、何か要因があるのか調べてみましたが、特別な要因があるわけではなさそうです。このグラフの集計期間からは外れていますが、9月5日の深夜に「借り手からの返済分について期限の利益を喪失をした」という旨のメールが誤って投資家へ送信されるアクシデント(注)がありました。そのことが影響しているのかも? ということで当該期間の値を調べてみましたが、確かに普段よりは高い値だったものの、この9月18日週に直接的な影響を与えているわけではなさそうでした。

注:オペレーション上のミスによる誤送信であり、実際に発生した事象ではないことが公式に発表されています

 

次に人気度が高いのは募集額の累計を急速に伸ばしているグリーンインフラレンディング。今年の7月頃からはクラウドリースを上回り、5社の中でナンバーワンの値が出ています。

クラウドリースも同様ですが、やはり高利回りなファンドを提供していることが、よく検索される要因になっているのかもしれません。利回りが魅力的だから検索して調べる。あるいは高い利回りに魅かれる思いとは裏腹に、疑心暗鬼になる面もある。こういった複雑な投資家心理が、検索のニーズを高める要因になっているのかもしれません。

キーワード分析⑤ 独立系のソーシャルレンディングプラットフォーム

このチャプターではmaneoマーケットとは関係の無い、独立系ソーシャルレンディングサービスの検索ボリューム上位5社を比較します。

ピックアップしたのはクラウドバンククラウドクレジットラッキーバンクOwnersBook(オーナーズブック)SBIソーシャルレンディングの5社。

もっと検索人気度が高いのはクラウドクレジット。セミナーの開催やウェブメディアでの露出に積極的であったり、ウェブ広告の出稿も多い印象です。そういった地道なマーケティングが功を奏して良い結果に結びついているようです。

2番手はクラウドバンク。証券会社が運営するプラットフォームであることや、営業年数が長いことにより認知がある程度浸透していることなどが検索キーワードとして安定的に想起されやすい要因となっているのかもしれません。




3番手以降はラッキーバンクSBIソーシャルレンディングOwnersBookと続きます。OwnersBookは地上波のニュース番組で取り上げられたり、運営会社であるロードスターキャピタルがマザーズ市場へ上場するというビッグニュースもありました。なので、もう少し高水準な値が出ても良さそうなものですが、やはり累計募集金額(9月17日現在:約24億円)がまだそれほど大きくないことで、検索時にサービス名を想起されるほどには認知が進んでいないのかもしれません。

キーワード分析⑥ maneoマーケット系 VS 独立系

最後にmaneoマーケット系と独立系で値が上位だったプラットフォームを参考までに比較してみましょう。

独立系の検索ボリュームが優位であることが一目でわかります。maneoマーケット系のソーシャルレンディングサービスは基本的にmaneoのウェブサイト上で紹介され、一気に認知が広まります。なんと言っても54,000名の投資家を抱える業界ナンバーワン企業のサイトですから、そこからのアクセス流入は絶大。一方で独立系のソーシャルレンディングサービスは独自のマーケティング戦略を展開することで、検索流入を増大させる努力をしています。この立ち位置の違いが、検索人気度の格差に繋がっているのではないでしょうか。

ウェブサイトのトラフィック状況を調べることのできるツールで確認してみたところ、グリーンインフラレンディングは検索からの流入に対して10倍近いトラフィックを他サイトからのリンクによって稼いでいます。そしてその「他サイト」の内訳はmaneoが90%以上のシェアを占めています。クラウドクレジットは検索からのトラフィックが他サイトからの流入を10%ほど上回っています。

まとめ

「ソーシャルレンディング」に関連するキーワードは、確かに右肩上がりのトレンドを形作っており、着実に人気が高まっていることを示しています。しかしながら、他のフィンテック系キーワードとの比較においてはまだまだ大きな開きがありました。ソーシャルレンディング業界がこれからどのように注目を集めいくのか? 今後もトレンドの変化を楽しみに見守ってみてはいかがでしょうか?