これまでに募集したファンドの利回りはすべてが11%を超え、最高は14%を記録(2017年8月9日現在)。高利回りなファンドラインナップに興味を惹かれつつも、その実態がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。今回はそんなグリーンインフラレンディングを大研究します。

再生可能エネルギー発電所開発プロジェクトへの投資

株式会社グリーンインフラレンディング(本社:東京都港区、代表取締役:中久保 正己)は再生可能エネルギー事業に強みを持つ株式会社JCサービス(本社:大阪市西区、代表取締役:中久保 正己)のグループ会社。どちらの法人も中久保氏が代表取締役を務めています。

固定価格買取制度(FIT)のように、運用についてのサポートが整備されている再生可能エネルギーですが、事業のアーリーステージである「発電所を開発する」という段階では、莫大な資金による投資が必要となります。しかしながら、その開発プロジェクトに対するファイナンスの供給者が限られているという状況があり、グリーンインフラレンディングはこのようなボトルネックを打破するための融資プラットフォームとして誕生しました。
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グリーンインフラレンディングに投資するということは、再生可能エネルギー発電所の開発プロジェクトへ投資をするということになります。ですので、昨今の制度改定により事業収益が悪化するなど、とかくネガティブニュースの多い再生可能エネルギーによる「売電」ではなく、それよりもっと手前の「発電所の開発」というアーリーステージへの投資であるということを、まずは理解する必要があります。

それでも無視はできない売電予定価格

アーリーステージである再生可能エネルギー発電所の開発プロジェクトへの投資ということならば、最近のニュースでよく取り上げられる太陽光発電の売電価格低下について気にする必要はないのでしょうか?少し確認してみましょう。

下表は固定買取価格の推移です。
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固定買取価格はその名のとおり「固定された価格」です。経済産業省から一度認定を受けることができれば、定められた期間は買取価格が固定されることになります。2012年以降に産業用として売電を認められた場合、20年間は価格が固定されています。

グリーンインフラレンディングからの融資により開発された発電所は、発電所開発案件として事業者・ファンド、投資家等に販売されます。その際、買い手としてはやはり固定買取価格が発電所の重要な評価ポイントとなってきますが、グリーンインフラレンディングの融資対象となる開発案件はすべて20年固定の高価格で認定を受けています。

8月9日までに募集されたファンドで公表されている太陽光発電所の売電予定価格は32円〜40円(消費税別)。32円(消費税別)以上という売電価格は、発電所の買い手サイドにとって非常に魅力的な水準です。

メガソーラーローンファンドの仕組み

太陽光発電にバイオマス発電、そして水力発電と、グリーンインフラレンディングが取り扱う融資対象は様々な種類の発電タイプがあります。ここでは、もっとも主力のファンドである太陽光発電、すなわちメガソーラーローンファンドの仕組みについて紐解いてみたいと思います。

メガソーラーローンファンドの多くは、最終貸付先であるC社の事業内容として以下の3項目を説明しているパターンが多くなっています。

1.土地購入及び賃貸借契約の承継(地上権設定)

2.太陽光設備の設置・売電に係わる関係者の権利調整

3.太陽光発電所開発案件として売却

事業者C社の事業ドメインをシンプルに表現すると「再生可能エネルギービジネスの総合プロデューサー」といった立ち位置であり、発電〜売電を手がける「プレーヤー」ではありません。ただし例外もあり、開発完了案件の売却のタイミングによっては、事業者C社が一時的に完成稼働後の発電設備を保有することもあるようです。




原則的に太陽光発電所の売却が事業の出口となりますので、事業者C社自身は将来の売電市況の影響を受けることはありません。発電所の経営的、あるいは運営面でのリスクを負わない構造になっているわけです。発電所の売却が完了した時点で、グリーンインフラレンディングの投資家も、事業者C社の事業リスクから切り離されることになります。

事業者C社は販売後の売却代金を原資に事業者A社を通じてグリーンインフラレンディングへの返済をおこない、投資元本を含めて投資家へ分配されるという流れになります。

GIL→A社→C社 すべてのファンドが同じ貸付スキーム

グリーンインフラレンディングへ投資したお金は、下図にあるとおり「グリーンインフラレンディングからA社」へ、そして「A社からC社」へと貸し付けられます。返済の場合は逆に「C社からA社」へ、「A社からグリーンインフラレンディング」へとお金が流れていくことになります。

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それでは事業者A社と事業者C社はどのような会社なのでしょうか?

A社はエスクローファイナンス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:須田 幸生)、そしてC社は本記事の冒頭に登場した株式会社JCサービスと推定されます。その根拠はエスクローファイナンスが発信したプレスリリース。「JCサービスと資本事業提携し、ソーシャルレンディングによる再生可能エネルギープロジェクトへのファイナンスを推進する」ということを公表しています。また、グリーンインフラレンディングがJCサービスのグループ会社であることは、以前にmaneoマーケット・瀧本憲治社長が自身のメルマガで公表しています。

改めて整理しましょう。

A社=エスクローファイナンス(C社と資本業務提携)
C社=JCサービス(A社と資本業務提携)

グリーンインフラレンディング(C社のグループ会社)

貸付のスキームではグループ企業であるグリーンインフラレンディングとJCサービスの間にエスクローファイナンスが入る形になります。これはグリーンインフラレンディングからJCサービスへのダイレクトに貸し付けた場合、お手盛り融資となってしまうことを避けるため、公正を期すためにエスクローファイナンスがJCサービスとグリーンインフラレンディングを牽制する役目を担っています。

ちなみに「お手盛り」とは、外部からの制御が届かない自分のテリトリーで、思うままに自己の利益を図ることをいいます。

グリーンインフラレンディングのリスク説明には「本借入人の信用力の調査」という項目があり、それによると「お客様が、グリーンインフラ社にお金を出資されるかどうかについては、最終的にはお客様ご自身の判断ですが、ローンファンドに係る本借入人の審査はグリーンインフラ社及び同社の関連会社等にて審査、分析を行っております。」と謳われています。

これはグリーンインフラレンディングとエスクローファイナンスが、JCサービスの案件を個別に精査していることを表しています。エスクローファイナンスは貸金業法に基づき登録している貸金業者としてJCサービスへの融資の妥当性をチェックしており、この部分がまさにお手盛り融資を回避する仕組みとなっているのです。

グリーンインフラレンディングにはどのように投資するのが良いのか?

2017年8月9日現在、グリーンインフラレンディングで組成されたファンドの最終貸付先はすべて事業者C社(=JCサービス)です。ということは、投資するファンドを分散しても事業者C社が負う事業者リスクを分散させることはできません。ただし、それぞれの開発案件が背負うリスクを分散させるという意味はありそうです。

ここでグリーンインフラレンディングに投資する上で、考えられるリスクを検証してみましょう。

再生可能エネルギーにより発電したエネルギーを電力会社などに買い取ってもらうためには、まずは資源エネルギー庁から認定を受け、買取価格を決定する必要があります。これまでにグリーンインフラレンディングが募集したファンドで公表されている売電予定価格は32円/kW〜40円/kW(消費税別)と好条件。この価格帯であれば、非常に価値の高い発電所として評価され、買い手が見つかりやすいようです。
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グリーンインフラレンディングで投資する際に注意したいリスクは、大きく以下の3つが考えられます。

① 再生可能エネルギー売買におけるビジネスリスク
② 事業者リスク
③ 開発案件リスク

このうち①については好条件で売電予定価格が20年間固定されていることから、相対的に低リスクと考えて良いのではないでしょうか。価格改定などの制度変更に振り回されるリスクは低そうです。もちろん絶対的に安心というわけではありません。

②についてはJCサービスとグリーンインフラレンディングは一蓮托生。ということは事業者C社(JCサービス)の財務状況が分かると一番良いのですが、公開はされていないようです。それならば、わかる範囲でJCサービスの企業としての成り立ちと実績を整理してみましょう。

・設立は平成15年3月
・資本金/273,150千円(平成25年8月末) 社員数/55名
・中久保正己社長は元兵庫県県庁職員(阪神大震災時の現場経験が後の起業に繋がった)
・現在まで国内における太陽光発電事業の実績は約312MW、開発件数は47件
・タイで取り組んでいるバイオマス事業は日本とタイ双方の官民が一体となった超大型事業

現状では、このような限られた情報から会社の健全性や安定度を推し量るしかなさそうです。

また、グリーンインフラレンディングでは「売電」ではなく、それよりもっと手前の「発電所の開発」というアーリーステージへの融資案件をファンド化しています。ですので、「売電」に関するリスクは原則的にはありません。

そしてもう一点、事業者A社(エスクローファイナンス)への融資が、ノンリコースローンとなっていることにも要注目。ノンリコースローンでは、もし仮に何らかの理由でプロジェクトの予定が狂い返済遅延やデフォルトなどのトラブルが起こってたとしても、融資対象の財産を売却すれば、それ以上のローン返済義務はなくなります。万一、投資していない別のファンドで事業者A社が返済不能に陥ったとしても、案件別に責任財産が限定されるノンリコースにより当該ファンド以外のファンドに対してその債務がのしかかるということはありません。

③の開発案件リスクは、まずは事業者A社と事業者C社の間でどのような保全がなされているのか。担保の内容を案件ごとに精査した上で投資判断をするのが賢明です。

・抵当権
・根抵当権
・質権設定
・動産&債権譲渡担保 などなど

基本的にこのような保全がなされていますので、案件ごとに返済余力を検証し、精査しましょう。

そして地域的なリスクを検証することも有用です。発電所の開発地域を分散することで、自然災害や事故等のリスクを少なからず回避することができそうです。




北海道、東北、東海、中国、四国、九州と、事業者C社が開発を手掛ける発電所は日本国内の津々浦々に点在。他にもスリランカの水力発電案件や、バイオマス発電ローンファンドで開発する発電所で使用する燃料はタイで生産。事業エリアは国内だけでなくアジアにも広がっています。

広い地域に開発案件が分散していることから、やはり発電所の所在地を選別して投資することには意味があるのではないでしょうか。

投資にあたって知っておきたい用語集

最後にグリーンインフラレンディングに投資する上で覚えておきたい用語をまとめてみます。

固定価格買取制度(FIT)
再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める固定価格で一定の期間電気事業者に調達を義務づけるもの。出典:資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー

ノンリコースローン
通常の融資では企業自体に資金を提供して、担保を処分しても債務が残る場合は、その後も返済の義務がある。それに対し「ノンリコースローン」は、特定の事業を対象にした融資。返済は担保の範囲内に限定される。その分、通常の融資より高めに金利が設定されている。企業にとっては既存事業と切り離して、新規事業の融資が受けられる点がメリット。金融機関は一般の融資より高めの金利で貸し付けを行なえる点がメリット。出典:「ASCII.jpデジタル用語辞典

万一返済できなくなった場合は担保にした物件以外に借入金の債務は遡及しない。したがって担保にした物件を売却しても借入金全額を返済できない場合、残った債務については一切返済義務が生じない。出典:(株)セントラル総合研究所「事業再生用語集

MW(メガワット)
1MW=1,000kW。電力の大きさをあらわす単位。一般的には電流×電圧がワットとなる。ソーラーフロンティア(株)のメガソーラーFAQによると「1MWのメガソーラーで概ね年間100万KWh以上の発電量が見込めます。これは一般家庭約200世帯が年間に消費する電力量に相当」するという。

ha(ヘクタール)
メートル法における面積の単位のひとつであり、10,000平方メートル。100㎡×100㎡=1ha。東京ドームの敷地面積は約4.7ha。ソーラーフロンティア(株)のメガソーラーFAQによると「1MWのメガソーラーを設置するのに、およそ2ヘクタール前後の敷地が必要になります。野球場のフェアグラウンドやサッカーフィールドがおおよそ1ha前後の広さ」とのこと。

まとめ

再生可能エネルギー発電所の開発には莫大な資金による投資が必要です。そしてグリーンインフラレンディングが融資するプロジェクトは不動産の開発事業にも類似したビジネスで、高水準の開発利益が期待できます。だからこそ投資家から11%〜14%という高い利回りで資金を募っても、最終的には採算がとれる仕組みとなっているようです。

グリーンインフラレンディングは自然環境の保全にも資する融資プラットフォームであり、投資家にとってとても魅力的なソーシャルレンディングサービスであることは間違いありません。投資を検討する際は様々なリスクを精査し、それらのリスクが許容できる範囲にあるかどうかを判断することからはじめてみましょう。