金融業界ではありませんが、格安旅行会社「てるみくらぶ」の経営破綻が大きなニュースとなっています。そして企業の破産そのものより注目を浴びているのが、本来何よりも大切であるはずの顧客から預かったお金の扱い方。

時を同じくしてソーシャルレンディング業界では「みんなのクレジット」が、高利回りでの運用を謳って顧客から調達した資金が杜撰に扱われていたことが証券取引等監視委員会の検査によって明らかになりました。

「顧客の大切なお金」に注目が集まる今、第二種金融商品取引業者及び会員が受けた、最近の行政処分事例をここにまとめてみます。




ワイン投資ファンドにおける詐欺的行為

株式会社ヴァンネット(栃木県宇都宮市)は、ワインファンドの自己私募・自己運用において、次のような出資金の流用を行っていたとして処分され、後に破産した。

○ 出資金の流用
ファンドの運用実績が目標利回りを下回ったことから、代表取締役自らが、帳票・報告書類を改ざん・報告して、新規のファンド募集による顧客の出資金をファンドの償還金等に充当・流用していた。

・未償還のファンド9本、顧客数 525 名(名寄せ後)、出資総額約 36 億7千万円
・平成 28 年3月7日破産手続開始決定
・金商法 52 条1項9号「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」(金商法 40 条3の2「金銭の流用が行われている場合の募集等の禁止」施行前の行為)

○ 行政処分等
平成 27 年 12 月 25 日、関東財務局、金融商品取引業の登録取消し及び業務改善命令

出資金の流用という、いわゆるポジンスキームです。「将来大幅な値上がりが見込めるワイン」への投資を謳って投資家を勧誘していました。

パチスロレンタル事業への投資資金流用

スプレマシーアセットパートナーズ株式会社(東京都中央区)はパチスロレンタル事業などで配当を出すとの名目で投資家を集めていました。

同社はパチスロファンドの私募の取扱いにおいて、次のとおり法令違反があった。

○出資金の流用を知りながらファンドの私募の取扱い
・同社代表取締役の指示により、営業者又は事業者が管理する顧客の出資金が事業者の経費等に流用されていたが、同社はファンドの私募の取扱いを行った。
・金商法 40 条の3の2「金銭の流用が行われている場合の募集等の禁止」
・出資対象事業に係る虚偽告知

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ファンドの出資対象事業では、事業者から遊技場へのパチスロ機のレンタルのほか、パチスロ機が販売されていた。同社は、こうした状況を認識していたが、顧客に対し、あたかも継続的な事業収益が見込まれるかのごとく説明し、ファンドの私募の取扱いを行った。

・金商法 38 条1号「虚偽告知」
・未償還のファンド 27 本、顧客数 110 名(名寄せ後)、出資総額約5億6千万円
・営業者は平成 28 年2月 26 日、事業者は同年3月 23 日、破産手続開始決定

○行政処分等
・ 平成 28 年4月1日、証券取引等監視委員会、処分勧告
・ 平成 28 年4月8日、関東財務局、金融商品取引業の登録取消し及び業務改善命令

ビジネスフォンファンド&金採掘ファンドの出資金流用

グランド・ウィン・パートナーズ株式会社(大阪市西区)は、ビジネスフォンファンド及び金採掘ファンドの私募の取扱いにおいて法令違反があった。

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○出資金の流用を知りながらファンドの私募の取扱い
・代表取締役が関与し、営業者に対して、ファンドの出資対象事業に一切関与していないA社及びB社へ顧客の出資金の約40%を販売協力金名目で支払うよう指示し、送金させていた。
・ 同社は、A社及びB社に送金する出資金等の一部を受領し、当社社員の給与の支払い等に費消した。
・金商法 40 条の3の2「金銭の流用が行われている場合の募集等の禁止」

○出資対象事業に係る虚偽告知
・同社は、顧客に対し、上記の事実を秘して、出資対象事業を説明、ファンドの私募の取扱いを行った。
・金商法 38 条1号「虚偽告知」
② 未償還のファンド9本、顧客数 376 名(延べ)、出資総額約9億5千万円

○行政処分等
・ 平成 28 年9月2日、証券取引等監視委員会、処分勧告
・ 平成 28 年9月9日、近畿財務局、金融商品取引業の登録取消し及び業務改善命令



まとめ

最近の3事例についてまとめてみましたが、やはり投資家から募った資金の扱い方が問われています。当初から流用する目的があったのかないのか、それはわかりません。ファンドへの投資においては、運用先のリスクもさることながら、投資家の勧誘をする事業者を見極めることの重要性も再認識しなければなりません。

こちらでご紹介した事例にもあるように、証券取引等監視委員会の処分勧告から金融庁が何らかの処分を下すまでの期間はちょうど一週間となっています。
これらのケースと同様に扱われるのであれば、「みんなのクレジット」への行政処分は3月31日(金)ということになります。果たしてどうなるのかはわかりませんが、引き続き注目していきたいと思います。